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第十八話 狂気

Author: 文月 澪
last update Last Updated: 2025-12-08 08:49:04

 そこは境内の片隅にひっそりとある細い小道だ。言われなければ見落としそうなその小道を二人並んで歩く。

 しばらく進むともう一本の小道に行き当たる。ここを右に行けば頭塚まですぐだ。

 律が懐中電灯を向け、左の暗がりを見遣る。

「あっちは?」

 そちらは手入れもされておらず、草や木の枝が突き出た獣道のような風体だ。

「あっちは県道の横道に出る。曰く付きの森だからな。面白半分に肝試しに来る奴がいるんだ。たぶん佐竹もあっちから入ったんだろう」

 そう聞くともう興味を失ったのか右の細道に歩を進めた。

 そのまままっすぐ進めば赤い鳥居が現れる。張られた注連縄をくぐると暗闇にうごめく何かが目に入った。

 懐中電灯をそちらに向けると、渦中の佐竹が裸で女と抱き合い荒い息を上げている。その過激な様に優斗は思わず目を逸らした。

 しかし、律はいつも通りの口調だ。

「ありゃ、真っ最中だったか。悪い事しちゃったかな〜」

 ちっとも悪びれずに頭を掻きながら笑う律のシャツを引っ張り優斗は早口に言う。

「お、おい! どうするんだよ!? こんな……」

 まともに見る事もできず、視線を彷徨わせる優斗の顔は真っ赤に染まっている。それを見る律の顔はニマニマと緩んでいた。

「あれ? 優斗ってばお子ちゃま〜。あんなのこの仕事してればしょっちゅうお目にかかるよ? 女のなりして男をとって食う化け物は多いからね! 君もちゃんと見て慣れなきゃ」

 そう言いながら鼻歌まじりに刀を取り出す。

 二人がやり取りを続ける間にも佐竹は一心不乱に腰を振っていた。それが痙攣けいれんしたように背を反らした後、崩れ落ち膝をつく。

「あ、終わったかな? じゃ、化け物退治の時間といきましょうか」

 いつもと変わらぬ口調だが、殺気を纏わせ御代月を引き抜き下段に構える。

 女は岩の上でケタケタと笑うと佐竹に足を絡めてべにを引いた唇を大きく開いた。その口はバリバリと音を立てて耳元まで裂けていく。

 優斗はその異様な様に驚愕を隠せず動けない。

 女が裂けた大口で佐竹の頭を丸呑みにすると首をぶちぶちと食いちぎり、血が勢いよく吹き出て周囲を濡らす。辺りに骨を砕く咀嚼音が響き、ゴクリと飲み下すと、女は得も言われぬ恍惚とした表情で微笑んだ。そして、残りの体にも喰らい付いていく。腕をぎ、腸
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